「俺、HIVになっちゃった・・・」

泣きながら電話をくれた友人がこのコラムを書くきっかけでした。
HIVに対する知識というのは昔に比べ浸透してきていますが、それでもまだ誤解や偏見があるのが現状です。

「もう恋愛は出来ないね・・・」

グスグスと鼻をすすりながら、電話で無理に明るく振舞う彼の姿が痛々しかったです。
今回はそんなHIVと恋愛に関することを私なりに書かせて頂きます。

おこがましいですが陽性者の光になり、陰性者の誤解が少しでも払拭できれば幸いです。

そもそもHIVってどんな病気?

簡単にお伝えすると、HIVウイルスが原因で白血球が少なくなる病気です。
白血球にもさまざまな種類があります。傷や病気になると白血球が活躍しますよね。

その白血球のなかには司令塔のような役目をするものがあり、それがHIVウイルスで壊れてしまうのです。
行き場が分からないその他の白血球は活躍の場が分からず、その為感染症が起こりやすくなります。

投薬治療をすることによりウイルスは検出できないレベルまでなくすことが出来ますし、壊れた白血球も再生します。

HIVを知るタイミング

同性愛者の方は定期的に検査をされている方もいますが、実際は体調不良を感じて初めて知る方が多いです。
いわゆる発症という状態です。

それが肺炎だったり、髄膜炎だったりと人によって様々ですが、それでも現代医学ではHIVは死なない病気になりました。
発症しても元の生活に戻ることは可能ですし、新しい薬も年々開発されています。

しかし発症と同時にその事実を知ってしまうと、ただでさえ具合が悪いのに、面倒な事務処理や心のバランスも崩れて、大変苦しい時間を過ごすことになります。

定期的に、とは言いませんが心当たりがある方は迷わずに検査をしましょう。

HIVの感染経路

同性愛者でHIVが危惧される理由は圧倒的にコンドームを使用しないセックスの割合が多いからです。
私もゲイデビューしたての頃は、

妊娠しないから要らないんじゃない?
何かゴムが擦れて痛い!生でしよう!

と安易な考えで性行為を行っていました。しかしそれがいかに危険な行為なのかご存知でしょう。
既に浸透しているかとは思いますが、若い世代のゲイ達にはもっと伝えていかなければいけません。

よく質問を受けるのが、

「キスでも移りますか?」

という質問です。答えはYesです。
しかしそれは仮に相手がその日歯を抜いて、まだ出血していて、さらに自分の唇が切れていて、やっと移る可能性がある程度のレベルです。
薬でコントロールしている方であればまず移りません。

陰性者の方は0%ではないことに着目してしまいがちですが、現在のHIVの治療と現状は変わってきています。

HIVの現状

2017に報告があったアメリカのデータを今回調べさせていた大来ました。

陽性者の方でウイルス検出値以下の方を対象に、数万人規模で感染のリスクがあるか検査した結果、6か月以上、検出値以下の状態が続けば、相手への感染のリスクはまず起こりえないという研究結果が出ています。

でも絶対ではないでしょ?
そんな言葉が陰性者の方から飛んできそうな研究結果です。

否定はしません。しかし、考えてみてください。数万人規模で行った研究結果です。
ただでさえ限られた中でしか出会えないLGBTのコミュニティで、相手が陽性者だからという理由で恋愛対象から除外するのはナンセンスな時代なのです。

HIVは心の病気

肉体的な部分では飛躍的に医療レベルが高まっていますが、私はHIVが心の病気だと認識しています。
仮に発症が原因で感染を知った場合、それまでに自分経由で誰かに感染させた可能性もありますよね?

将来への不安や、過去への罪悪感で心が押し潰されそうになります。
そんなときは必ず話を聞いてくれる相手が必要です。
然るべき機関もありますが、もし仮にそれが彼氏だったらどうでしょう?

今後の付き合い方や不安要素もありますが、HIVになってしまった現状、あなたには圧倒的な愛が必要なのです。
だからHIVになったからといって恋愛することを諦めてはいけないのです。

愛に勝てる病は無い

今彼がいる方、これから誰かと出会う方と状況は様々でしょうが、HIVと向き合う事は容易ではありません。
そこに恋愛が絡むと更に難しくなります。
でもいつも忘れないで欲しいのが、愛に勝てる病は無いという事です。

良いことばかりではありません。
もしかしたら悪いことの方が多いと感じるかもしれません。
しかし人が自分以外の誰かを愛する気持ちは根源は性行為ではありません。

性行為はあくまできっかけであって、もっと大切なものが心にしっかり芽生えているはずです。
そして、そこで抱いた感情というものはそう簡単に壊れるものではありません。

陰性者の方は一緒に病気に向き合っていく優しさ、そして陽性者の方は怖がらず勇気をもって心を開く勇気を持ち、より充実したゲイライフが送れる社会を一緒に築いていきましょう。

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